イノシシと鉢合わせ
夜9時半過ぎ、従業員通路の扉を開ける。
外は霧がかっており、空気も冷たい。
私が住んでいる元箱根界隈は、日中温められた小田原の空気が、標高の高い元箱根方面に流れ、空気が冷やされてよく濃霧になるのだ。
10メートル先も真っ白で何も見えない駐車場を、寮に向かって歩いていた。
今日はわたしにとって仕事納めの日であり、一年と一ヶ月お世話になった仕事のこと、これからの人生を自分で切り開いていかなければならないことなど考え、少々感傷的になっていた。
仕事場から寮までわずか3〜4分。
寮の玄関手前まで歩いて来た時だった。
ひづめの音がする。
耳を疑った。
えっ?ひづめ???
頭に大きなはてなマークである。
ひづめで駐車場の砂利を擦る音が聞こえる。
ズッ、ズッ、ジャリ、ジャリ、、、、、、、、
次の瞬間、
聞いたこともないような野生のうなり声が聞こえてきたのである。
ヴォーーーッ。ヴォーーーッ。
ひぇー、、、なんだ、何かいる……
よくよく見ると、月の光に照らされて、牙らしきものが光ったのである。
イ、イノシシだぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタカタカタ
猪とわたしとの距離、わずか50メートル。
向こうは地面の何かに夢中で、ふがぶがと鼻息荒く、辺りを嗅ぎ回っている。
わたしはよっぽど車の陰に隠れようかと思ったが、隠れたところに突進されたらそれこそおしまいだと思い、そのままその場に凍りついてしまった。
向こうはまだわたしに気付いていない。
向こうがわたしに気付いていないということに、私が気がつくのに時間がかかった。
恐ろしさで狼狽していると、背後から車がやってきた。
その車のライトに驚いたのか、ものすごいスピードで森に消えていった。
時速40キロはあると思われる。
あ、イノシシのスピードね。
そのスピードにまた驚き、あの猛スピードで追突されなくて良かったと心底思い、肩をなでおろした。
箱根は猪が出るというのは聞き慣れていたのだが、心のどこかで〝偶然猪と出会うなんてことはまさかないでしょ~~〟と思っていた。
そして、〝出会ったとしても、どうにかなるでしょ~~〟とも思っていた。
野生の猪は見たことなかったので、頭のどこかではこんなイメージだったのだろう。
(インターネッツから拝借)
…
…
頭にお花が咲いちゃったレベルである。
実際はこんな感じ。
(インターネッツから拝借)
とにかく、野生の荒々しさが凄かったです。
イノシシくんも、はらペコすぎて、いきり立っていたのかな。
太古の人はすごいなぁ。
ナウマンゾウを狩猟していたんだものねぇ。
イノシシなんてネズミちゃんみたいな感覚かしら。
わたし、現代っ子だなぁ。
まぁ、太古の人と比べられても困るけど。(笑)
何もなくて本当によかった。
こんなことになってたかもしれないし。↓
友人A「みずほちゃんていま何してるの~?」
友人B「なんかね~世界放浪するとか言ってたけど、どうもイノシシに突撃されて入院中らしいよ。」
友人A「え?イノシシに突撃されたの~??ウケるねー!」
笑い事じゃないです。
そしてこんな友達はいませんが。(笑)
日が暮れる前にはおうちに入ろう。
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